本当にブログはフィギュア市場に影響を与えているのか?

このお話を読んだのですが、ちょっと微妙に気になるので小コラム。
というか、この話はこの間カーリアとも話題になったんだけどね。

「ひょっとしてブログでレビューを書くのが目的でフィギュアを購入しているユーザーもいるのでは?」という指摘。

コレについては概ね同意見。
まあほら、基本的にブログにおいてはこういう「何買った」系はネタにしやすいし。
現にうちでもやってるしね。
で、オタ系のブログであるならば、当然「何買った」系の中身の選択肢としてフィギュアをあげるようになるので、ある意味自然な流れとも言える。
また、そういった趣向のブログ、レビューサイトも多数存在しますし。
発売日前後はその手のサイトは活気づきます。ファンとしても「ああアレが発売されたんだ」っていう指針になるわけで、そういった意味で発売直後の爆発的な初動がみこめるわけだったり。
現に、公式サイトとか見てても発売日前後の更新が微妙だったりするところもあるわけですが、発売日前日くらいに早売りを買った人がレビューを載せると、発売日当日付近ではすでに買えない店があったりするわけで。
また、金さえかければ更新のネタに出来る、ということでとりあえずやってみよう、みたいな感じで手をだしてみてるレビュアーも増えてきてるんじゃないだろうか。


じゃあ本編にいくね。ここまでは前ふり。

だから発売直後は勢いが良くても、長く売れる商品(あるいはキャラクター)が減ってきているんじゃないだろうか。

問題はここね。この文を書いた人としては「ショートスパンの作品を多く排出することで、作品を潤滑に流していく風潮がうけている」という意見のためにコレを取り上げたようだけども。


実際に、長く売れる商品ってのはかなりなくなってきてるというのは確か。
玩具市場が潤ってる(のかな?)おかげで、基本的に市場は潤滑にめぐっていってます。
月に何種類も発売されるプラモデル、玩具、フィギュア。
いったい一月でどれくらいのアイテムが新発売されてるか知ってる? 一度模型誌立ち読みして、後ろのほうにある発売スケジュールとか見てみるといいよ。すごいから。
で、それだけたくさん新商品を開発、発売してきているわけだけど、その中でまる1年売られ続けるアイテムは実はほとんどない。ガンプラくらいかな?
ソレはなぜかというと、需要と供給というやつです。
要は企業側が販売量を見込んだ数しか生産しないわけです。基本的にね。
そう考えると、何種類も発売されたなかで、瞬殺と言われるくらいものすごい勢いで売切れてしまうのはごくわずか。残りは、さっきブログの話であげたように初動でがっとうごいて、その後はゆるやかに残りを消費していくのが大体だと思われます。
さて、この場合再生産がかかるのはどちらでしょう?


答えはもちろん瞬殺されたほうだけ。緩やかに売れていった商品が再生産されることは、まず無いと思って間違いない。
その答えは売る側の気持ちになればわかるよ。
売り場で長いこと買い手がつかずに置かれてるアイテムを、再生産かけて大量につくっても売り切れると思うかい? 思わないよねえ……
そんなわけで、売れ残りは大体ゆったりとしたペースで売り場に、または倉庫に残り続けるわけです。コレはさすがに長いスパンでプッシュして売られ続けているとは言いがたい。
また、再生産かけるにしても、コスト的な問題とかが山積みで、必ずしもされるとは限らなかったりするから、結局長く押していけなかったりすることもしばしば。


そんなアイテムが、月にものすごい勢いで増えてるわけですね。
この「増える」という状態は、実は先の筆者が言いたかったであろう「作品、キャラクターの消費」につながってくるわけ。
企業が新しい作品をつくる→消費者がくいつく→食いつかれたら次を用意する。
この循環に陥ってるのが、今のオタク産業なんじゃないかね。


さて、フィギュアの話にもどそうか。
フィギュアに関しても、月にものすごい量が消費されています。
WFなんかのイベントで、結構な数製作発表がされてますが、実際発売されるのは数ヶ月、ひどいと半年後くらいのものも発表される。
それくらいスケジュールが埋まるくらいに、頻繁に新製品がつくられ続けている。
最近はアニメ作品が放映されて、ソレが放送が終わるくらいにはフィギュアが発売されている、なんてこともザラだよね。
でもさ、コレに関してブログが影響を与えているかって言ったら、それって微妙じゃない?
最近のオタクが新しい物好きなのは前からであって、オタクの全員がブログ書いてるわけでもないしさ。
上記のように、発売直後の初動に与える影響はあると思うんだけど、レビューのネタにするために大量に消費していくことが市場に影響を与えているほどでかいかっつーと微妙でしょ。
だってブログやってる人で、なおかつオタクで、フィギュアレビューしてる人はほんの一握りにすぎないだろうに。
確かに傾向的には増えてるって言った。まあ実際そんな調べまわったわけじゃないから、確実に増えてるとはいえないけれど、それでも見た感じ数年前よりは増えてるように感じる。
でもその増えたレビューブログが、さらに増え続けてるフィギュア作品のすべてをフォローできてるかといったら、個別に違うもの買ってたとしても結構厳しいと思うよ。市場を動かしているというよりも、市場に振り回されているってのが正解だと思う。


ネットにおけるレビューは販売量には影響をあたえてる「かもしれない」けど、市場を作り変えてるほどとは到底言いがたいよなーってのが俺の意見なのでした。
今の市場はオタク社会の風潮が作り出したってのが正解かなあ。オタク社会にブログは大いに浸透してきたけど、そのブログが原因になってるってことは無いと思うね。


ちなみにコレは余談だけど、最近新作が増えすぎてるせいなのかしらないけど、発売を延期するアイテムが急激に増えたように感じてるんだけどどうだろう?
生産ラインの確保がかなり厳しくなってきてるのかなあ。
今でこそすごい数でてるけど、この調子だと近いうちに市場破綻するんじゃない? そんな気がしてなりません。現にトレーディングフィギュアとかだいぶ価格が上昇傾向だしね。
まあ、同じアレなら踊らにゃ損ソン♪ 楽しめる限りは楽しんでいきたいところです。